オートファジーによる分解には被分解物を包み込む二重膜胞オートファゴソームの形成が必須であり、そこではユビキチン様タンパク質Atg8と脂質分子ホスファチジルエタノールアミン(PE)が結合したAtg8-PEが重要な役割を果たす。Atg8は、Atg7をE1酵素、Atg3をE2酵素とするユビキチン結合反応を経てPEと結合する。私は以前、オートファジー関連タンパク質Atg12とAtg5の結合体がAtg3の活性中心に構造変化を引き起こし、その活性を上昇させることを生化学的手法により示した。本研究では、Atg12-Atg5結合体によるAtg3の活性化の作用機序を明らかにするため、Atg12-Atg5結合体とAtg3の化学架橋産物の結晶構造解析に取り組んだ。前年度までにAtg12-Atg5-Atg3化学架橋産物を効率よく形成させることに成功し、高純度の精製サンプルを得る条件を整えた。しかしながら、化学架橋実験をスケールアップして行ったところ、架橋効率が下がり、架橋産物を高純度で得ることが難しくなった。今年度引き続き精製条件を検討したが、高純度で精製することはできなかった。低純度の精製サンプルを用いて、およそ500種類の条件で結晶化スクリーニングを行ったが、結晶を得ることはできなかった。
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