研究課題
本研究ではギャップ結合チャネルの開閉機構の解明を目的として、線虫に存在するイネキシン6(INX-6)の電子線結晶構造解析を行った。N末端の2~19残基を欠失したINX-6変異体(INX-6delN)から良好な二次元結晶が得られ、極低温電子顕微鏡像の結晶学的解析により得られた投影像では一つのチャネルにつき8個のサブユニットの特徴を示すピークが確認された。二次元結晶の傾斜像を解析し、合計249枚の電子顕微鏡像から膜平面10Å分解能における三次元再構成に成功した。その結果、INX-6delN ギャップ結合チャネルは16量体から成っており、コネキシンの12量体とは明確に区別される構造であることが明らかとなった。チャネルの通路にはプラグに相当する密度が確認され、我々が過去にコネキシン26(Cx26)の三次元再構成で報告した特徴によく類似するものであった。蛍光色素を用いた透過活性測定ではINX-6delNから透過活性は失われており、閉じている構造の一つを示すものであることがわかった。これはN末端配列を欠失したことによるartifactによって生じた可能性を否定できないため、生理的な機能の議論をするためには野生型のINX-6を構造解析する必要がある。しかし配列に相同性が無く、サブユニットの数も異なるCx26とINX-6が、活性を低下させる変異体において共にプラグを保持していたという結果は、ギャップ結合チャネルの開閉機構の解明につながるものである。以上の結果は論文にまとめて発表した。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Journal of Molecular Biology
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