ウシの海綿状脳症(BSE)に代表されるプリオン病は、異常型プリオン蛋白質の蓄積が原因と考えられている。我々は四重鎖構造を形成する核酸分子の中から、プリオン感染細胞の異常型プリオン蛋白質の産生を抑制できるものを探索したところ、50%阻害濃度(IC50)100 nM程のRNA分子の発見に成功した。しかしこのRNA分子のNMRスペクトルは信号の分離が極めて悪く、立体構造の解析が困難であった。そこでこのRNA分子の配列の改変および溶液条件と調製方法の検討を行った。その結果、NMR信号がよく分離したRNA変異体を見出し、また測定における最適な溶液条件を確立した。
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