研究成果の概要 |
光化学系IIの結晶構造は放射線損傷を受けていることが指摘されていた。そこでSACLAのX線自由電子レーザー(XFEL)と何百の巨大で同型な結晶を用いてS1状態における無損傷構造を1.95A分解能で解析した。XFELによって決定したOECではMn-Mn原子間の距離がこれまでの結晶構造よりも0.1-0.2A短くなっていた。構造にもとづき,水分解反応の開始状態では酸素発生中心を構成するMnの価数はMn1が+3,Mn2が+4,Mn3が+4,Mn4が+3であることを明らかにした。これらの結果は水分解の反応機構を解明するための構造基盤を提供し, 水分解の人工触媒合成のための設計図ともなり得ると期待される。
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