研究課題
ヘモグロビンは4量体タンパク質であり、各サブユニットの活性サイトにヘムを持っている。ヘム中心金属である鉄2価イオンの第六配位座に酸素等の配位子を可逆的に結合・解離させることにより、生体の血液中で酸素の運搬を担っている。ヘモグロビンは、結合配位子の個数によって自身の分子構造、及び配位子との親和性を大幅に変化させることが知られているが、その構造変化の過程を詳細に原子レベルで観測した例は少なく、親和性制御の機構についても未だ不明な点が多い。本研究では、ヘモグロビンの配位子解離に伴う構造変化の過程を動的に直接観測することを目的としており、酸素の代わりに光解離量子収率の高い一酸化炭素を結合させたヘモグロビン単結晶を用いて光照射下でのX 線結晶構造解析を行い、分子変形の逐次観測を行った。また、金属原子周辺の局所的な構造変化について原子イメージングが可能な新たな手法をヘモグロビンに適用し、その結果について、日本生物物理学会、アメリカ生物物理学会等で研究成果を発表した。その他、室温付近での時間分解白色X線回折実験の結果については解析中である。
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