研究課題/領域番号 |
26840029
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
桑原 直之 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究員 (70506253)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖鎖修飾 / O-マンノシル化 / αジストログリカン |
研究実績の概要 |
αジストログリカンのO-マンノース型糖鎖の合成に関わるGlcNAc 転移酵素であるPOMGnT1の結晶構造解析を行った。POMGnT1は触媒ドメインの他に機能未知ドメインを持っており、筋ジストロフィー疾患原因変異はその機能未知ドメイン内でも見つかっている。今回の構造解析により、疾患原因変異と機能の相関を見つけるための構造基盤を確立できた。さらに構造解析の過程で、機能未知ドメインの機能解析を行い、今まで明らかになっていなかったPOMGnT1の基質認識機構を明らかにできた。 またαジストログリカンのO-マンノース型糖鎖の合成に関わる酵素として、 POMGnT1以外にもPOMT1/2やFKRPが存在する。本年度はPOMT1の内腔側ドメイン及び分泌型FKRPの大量発現及び精製に成功した。これまでにこれらのタンパク質の高純度に精製された試料での構造機能解析はなされていない。そのため、今後結晶化スクリーニングや生化学的解析を行うことでO-マンノース型糖鎖修飾機構解析を推進できるようできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
POMGnT1については27年度内に構造解析を終える予定であった。しかしPOMGnT1の構造解析や様々な基質複合体との結晶構造解析は26年度中に終えることができた。また、POMGnT1と相互作用することがしられているFKRPの精製を行うことができた。そのためPOMGnT1研究については当初の計画より早く遂行できている。 さらに26年度に、膜内在性タンパク質であるPOMT1及びPOMT2の発現条件検討及び精製を行う計画であった。POMT1およびPOMT2の共発現系を複数条件で検討したが、当初予定していたような大量精製に適した発現条件を見つけることができなかった。今後発現条件を再検討する。その検討過程において、POMT1の内腔側ドメインの大量発現を行うことに成功している。このドメインの解析結果を生かすことで発現系の改善を行う予定である。このことからPOMT1及びPOMT2の複合体精製は当初の予定より遅れている。POMGnT1の実験を前倒しで行うことができたため、27年度はより多くの時間をPOMT1/2複合体に使用できるはずである。 以上ことからおおむね計画どおりに遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として、FKRPの構造機能解析、POMT1/2複合体の精製系の確立、POMT1の内腔側ドメインの構造機能解析を行う。 FKRPはPOMGnT1やPOMT1/2と相互作用し、αジストログリカンの正常なO-マンノシル型糖鎖修飾を行っている。しかしFKRPが糖鎖修飾においてどのような機能を果たしているかは全く未知である。そこでFKRPの解析を行うことにより、O-マンノシル型糖鎖修飾機構解明に貢献できる。これまでに発現および精製系の確立はできているため、結晶構造解析および生化学的解析を進める。 POMT1/2は複数種のオルソログを既に取得済みであるため、発現条件の再検討を行う。EGFPを付加したPOMT1及びPOMT2の発現及びEGFP蛍光に基づいた試料評価方法は既に当研究室で確立されているため、効率的に遂行できる。 POMT1はPOMT2と配列相同性が高いにもかかわらず、発現量がPOMT2と比較して著しく高い。このことは内腔側ドメインのみの発現においても同様の傾向を示す。そのため発現量は内腔側ドメインの性質に依存していると考えられる。このことかPOMT1の内腔側ドメインの構造機能解析を進めることで、POMT1/2の発現量の改善を図る。これまにでPOMT1内腔側ドメインの発現系の確立は完了しているため、精製及び構造機能解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度にPOMT1/2複合体の精製試料を用いて、モノクローナル抗体作製のための受託研究を依頼する予定であった。しかしPOMT1/2複合体の精製を26年度中に行うことができず、モノクローナル抗体作製の発注を行うことができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度にPOMT1/2複合体の精製を行うか、精製POMT1内腔側ドメインを用いて、モノクローナル抗体作製依頼を行う。そのため研究計画全体を通しての計画の変更はない。
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