研究課題/領域番号 |
26840031
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
依光 朋宏 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (00534364)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | COPII小胞 / 小胞体 / ER exit sites / Sec16 |
研究実績の概要 |
本研究課題では小胞体膜上におけるコートタンパク質による輸送小胞形成の場であるER exit sites (ERES)の形成ならびにその調節メカニズムを解明するためにSec16の機能解析を行うことを目的としている。平成26年度における研究計画に従い、先行研究により明らかとなったSec16のN末端領域の機能的重要性の解析を試験管内再構成実験系を用いて詳細に行うため、Sec16 N末端領域を高純度かつ高収量での精製を試みた。目的としたSec16のN末端全長領域は991アミノ酸残基から構成されるが、その構造的な不安定性により非常に高いプロテアーゼ感受性を示した。そこで安定な精製タンパク質を得るために、種々の短い断片のデザインを行い、そして様々なタグならびに発現させる大腸菌の株についての検討を同時に行った。その結果、735アミノ酸残基から構成されるN末端断片(Sec16 N735)を非常に高純度かつ出芽酵母発現系から得られる数十倍の高収量で精製ことに成功した。このSec16 N735の機能解析を行うためにまず、精製されたコートタンパク質との相互作用をin vitro binding assayにより調べた。しかし、この実験系においてはSec16 N735が凝集しやすい性質を持つことが原因であるためか、Sec23/24ならびにSec13/31の両方のコートタンパク質との相互作用は検出されなかった。この問題の解決ならびに、また申請書の研究計画に記載された通り、さらなる詳細な機能領域の探索のためにSec16 N735の更なる断片化を行いその精製を試みた。その結果、数種類の短い断片を精製に成功した。平成26年度に精製が成功したSec16を用いた試験管内完全再構成実験を行うことにより、輸送小胞形成反応におけるコートタンパク質との相互作用様式やその調節機構が今後明らかになることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度までに、試験管内完全再構成実験系で用いることができる水準の高純度かつ高収量のSec16のN末端領域Sec16 N735の精製に成功している。またその機能領域を更に探索するために更なる短い断片の精製にも成功している。一方、再構成実験系を成功させるためにそのバッファー条件等についてはさらに検討を行っていく必要があるが、本研究課題は申請書に記載した通りにおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降には、まず試験管内完全再構成実験系の実験条件の最適化を行い、平成26年度に得られたSec16のN末端領域の精製タンパク質を用いコートタンパク質の制御機構の解析に関わる実験系を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、申請段階で計画した試験管内完全再構成実験系を用いた解析が当初の計画の通りに完結できず、この実験で利用予定であった人口脂質等の一部の試薬を購入、使用しなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度より継続の実験を含め、申請書に記載した計画通りに研究を行うための試薬、物品等の購入また実験成果の学会、論文発表等のために使用する。
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