研究課題/領域番号 |
26840034
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大橋 貴生 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 助教 (10597876)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 植物細胞壁 / ペクチン / ポリガラクツロナーゼ / 多糖分解酵素 / 糖質分解酵素 / 分裂酵母 / シロイヌナズナ |
研究実績の概要 |
植物細胞壁の主成分であるペクチンを分解するポリガラクツロナーゼの機能解析を行っている。現在までにバクテリアや菌類由来のポリガラクツロナーゼに関して、多数の報告があるが、高等植物由来のポリガラクツロナーゼに関しては知見が乏しい。わずかに報告があるものに関しても、可溶性の分泌型ポリガラクツローナーゼのみである。申請者らの生化学的な予備研究により、従来の分泌型では無い、膜画分局在型のポリガラクツロナーゼ活性を見いだした。本研究では、活性のみが検出されている膜結合型のポリガラクツロナーゼ分子を同定することを目的としている。 高等モデル植物であるシロイヌナズナのデータベースより、ポリガラクツロナーゼ様配列を抽出し、推定膜貫通領域の有無を調べたところ、数種の配列で膜貫通領域が予測された。これらの配列にGFPを連結し、タバコ培養細胞で発現させたところ、ゴルジ体様の局在シグナルを示すポリガラクツロナーゼを発見した。また、これらのタンパク質を分裂酵母を用いて異種発現させたところ、ポリガラクツロナーゼ活性を有するタンパク質を見い出した。これらの結果は、新規のゴルジ局在型ポリガラクツロナーゼの存在を示している。現在は、これらの生理学的機能を調べるため、シロイヌナズナ当該遺伝子の変異体を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GFPを用いた細胞内局在解析により、ゴルジ体様局在を示すポリガラクツロナーゼを見いだした。また、平行して進めていたシロイヌナズナ組換えポリガラクツロナーゼの酵素学的な特性解析も進み、酵素活性も検出できている。以上の結果より、次年度以降の研究計画にある本酵素の生理学的な機能の解析に進めると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は新規に見いだしたゴルジ局在型ポリガラクツロナーゼの生理学的な機能解析を中心にすすめていく。残りの候補タンパク質についても、細胞内局在解析、酵素学的特性解析を進めて行く。これらの解析結果を統合し、従来とは異なるタイプのポリガラクツロナーゼが関与するペクチン合成及び分解に関する分子メカニズム、またその先にあるペクチンの生理学的な機能に迫りたい。
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