植物細胞壁の主成分であるペクチンの分解に関与するポリガラクツロナーゼの機能解明について研究を進めている。ポリガラクツロナーゼはバクテリア、菌類、高等植物において広く存在している。バクテリアや菌類において、数多くの報告が成されているが、意外なことに高等植物においてはあまり良く分かっていない。申請者らの先行研究において、従来に無い新しいタイプの膜結合型ポリガラクツロナーゼの活性を見出していた。しかし、この新しいタイプの酵素をコードする遺伝子は不明であった。H27年度までの成果により、タバコ培養細胞を用いて、モデル植物であるシロイヌナズナ由来の、複数の膜結合型ポリガラクツロナーゼ候補の細胞内局在解析を行い、ゴルジ局在を示す酵素に加えて、液胞、細胞膜に局在を示す酵素も新たに見出した。 H28年度は新たに見出した液胞局在酵素の組換え酵素を作成し、ポリガラクツロン酸を基質として、酵素活性測定を行った。複数の液胞局在型組換えポリガラクツロナーゼはポリガラクツロン酸を基質として、分解活性を示すことが明らかとなった。さらにこれらの活性が見られた液胞局在型ポリガラクツロナーゼに関して、酵素学的な諸性質を明らかにした。
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