HO-2は小胞体膜結合タンパク質であり、ヘム結合領域を含む構造領域、C末端側に2箇のCysを含む天然変性領域、膜結合領域から成る。生体内には、HO-2の様に構造領域と膜結合領域の間に天然変性領域を含む表在性膜タンパク質が多く存在する。しかしながら、この天然変性領域の機能についてはあまり解析がなされていない。まず、C末端領域を含むlong HO-2と含まないshort HO-2の酵素活性を比較した。その結果、long HO-2は、short HO-2より1.5倍酵素活性が高いことが分かっていた。NMRの動的構造解析からC末端の天然変性領域が酵素活性に重要な構造領域と弱く相互作用することで、動的構造を変化させていることも明らかにしていた。MD simulationの結果からもlong HO-2の方が構造領域の構造に多様性があり、これはlong HO2のR2 dispersionの結果において構造変化が大きくなった残基が多く存在することと一致していた。この現象をin vivo でも検証するために、HO-1/HO-2コンディショナルノックアウトマウスからCreを用いてHO-1/HO-2をダブルKOした細胞を作製していたが、KOされていない細胞が混ざっていることが判明したため、シングルセルクローニングを行い完全にHO-1/HO-2をダブルKOしたMEF細胞を新たに作製した。この完全にKOされた細胞にwtHO-2とmutantHO-2を過剰発現させた細胞も新たに作製した。これらの細胞をHeminを含む培地で数時間培養し、Heminに対する耐性や細胞増殖率などを比較した。MEF細胞は不死化しているため、普通の細胞よりもHeminへの耐性濃度が高いことが分かった。また、Heminの分解効率を調べるために、HPLCやNMRを用いてHeminの定量解析方法などの検討も行った。
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