脳の血管拡張に関与するヘム分解酵素HO-2は、ヘム結合部位を含むコア構造領域とC末端側に特徴的な天然変性領域を有する。天然変性領域が無いと酵素活性が低下することを明らかにしていた。この酵素活性の違いを説明するために、動的構造解析を行った。その結果、C末端天然変性領域が構造領域と弱く相互作用していること、この相互作用している構造領域中の残基が大きく揺らいでいることが分かった。更に、C末端領域を含む HO2と含まない HO-2では、構造変化の速度が異なっていた。以上の結果から、C末端の天然変性領域が構造領域の動的構造を変化させ、この動的構造変化によって酵素活性が調節される機構が考えられる。
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