研究課題/領域番号 |
26840052
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
鶴村 俊治 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (50450250)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胃がん / ピロリ菌 |
研究実績の概要 |
本研究は、ピロリ菌の分泌するTipαによる胃がん発症のメカニズムを主に構造生物学的視点から解明することを目的としている。Tipαはピロリ菌から胃上皮細胞に分泌され、TNF-αを誘導することで胃炎や胃潰瘍をはじめ胃がんや十二指腸がんを引き起こすが、その発症のメカニズムはわかっていない。 Tipαは二量体を形成し、pHによりその形態がオープン、クローズと大きく異なることが結晶構造解析から明らかにされており、またTipαがDNAとの結合能を有していることが明らかにされている。二量体が酸性ではオープン、中性ではクローズ構造を形成しているが、いずれの形でDNAと結合しTNF-αを誘導しているかはわかっていない。そこで本研究ではTipαの変異体とアミノ酸特異的なリンカーを用いることでオープン、クローズにそれぞれ固定したTipαを作製し、DNAとの結合やTNF-α誘導能を調べることとした。 平成26年度では、1.Tipα変異体として1種類のオープン型変異体と3種類のクローズ型変異体のコンストラクトの作製を試みた。内、1種類のオープン型変異体と2種類のクローズ型変異体のコンストラクト作製に成功した。2.この3種類についてタンパク質の発現および精製を行い、それぞれのサンプルを得た。3.これらの変異体とアミノ酸特異的なリンカーを反応させ二量体を形成させ、SDS-PAGE において2-メルカプトエタノール存在下でも解離しない二量体の存在を確認した。4.以前より得ていたTipαのX線回折データの構造解析については、統計値が下がらず解析が停滞していた。しかし、Twinの解析を含め、再解析を行った結果、統計値の向上が認められたので継続して再解析を試みている。 平成27年度は、作製したリンカー結合の二量体と単量体を分離し、結晶化、TNF-α誘導能などの解析を行い、データの再解析についても引き続き行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度で完遂する予定であった取得済みX線回折データの解析が難航し終えていないが、データ解析はTwin検出の検討などにより統計値が向上した。また、リンカー結合した二量体の作製に成功し、二量体と単量体を分離すれば、後の機能解析のステップが速やかに進行可能である。形態評価が残るがほぼ計画通りであると考えこの評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、1.作製したリンカー結合の二量体と単量体をゲルろ過やイオン交換クロマトグラフィー等でのカラムを用いて分離し、リンカー結合した二量体のみの単離を最優先に行う。2.単離出来次第、X線小角散乱でpHが変化してもその形態が変化しないことを確認し、二量体の形態の評価を行う。3.また、in vivoでのTNFα誘導能も測定し、いずれの二量体でTNF-αが誘導されるかを調べる。4.同時にDNAとの共結晶化に取り掛かる。これまでの結晶化条件に加え、新しくタンパク質-核酸複合体に特化したスクリーニングキットも用いて検討する。5.データの再解析については引き続き行うが、解析できなかった場合のために野生型Tipαの結晶化を行い、新たなデータを取得する。
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