研究課題
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は低分子薬の約30%のターゲットになるなど、創薬の標的分子として主要な位置を占めている。過去20年間で、GPCRが二量体・多量体を形成して互いに機能調節を行うことが様々な受容体で報告されてきた。しかしながら、従来のバルクにおける計測では二量体と高次多量体を区別できないため、生細胞においてGPCRの二量体・多量体化の実態は明らかでない。本研究では、統合失調症の標的として注目される、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)の高次多量体形成およびmGluRとセロトニン受容体(5HTR)のヘテロ多量体をモデルとして1分子イメージング・FRET解析を行ってきた。平成28年度は、平成27年度までの研究成果であるmGluRの1分子動態と機能の連関についての研究結果を論文にまとめて投稿し、また、様々な学術会議で同成果について発表を行った。本研究により、アゴニスト依存的に細胞膜上でmGluRの高次多量体が拡散係数の低下を伴って増えることが明らかになった。また、mGluRとクラスリンの2色同時1分子イメージングにより、上記の高次多量体形成はクラスリン被覆ピットへの取り込みと連関していることが判明した。クラスリン被覆ピットへの集積はGPCR一般に共通したエンドサイトーシスの機構であり、1分子動態を指標としたGPCRの薬効評価が可能であることが示唆されたため、同手法を新規の「Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の活性評価方法」として特許出願を行った。
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Proceedings of the National Academy of Sciences
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Biophysics and Physicobiology