研究課題
前年度までに構築した波長分離型の超解像顕微鏡システムを利用して、筋肉を構成するミオシンフィラメント(ミオシン2)の複数のヘッドの動態計測に取り組んだ。ミオシンフィラメントはミオシンの自己組織化によって作製した。この際、ヘッドの個数を数個のオーダーに制御するために、ヘッドの無いミオシンフィラメント(ミオシンロッド)を一定の比率で混在させた。また、蛍光プローブとして7色の量子ドットを用い、自己組織化する前のヘッドに対してビオチンアビジン結合を介して標識した。顕微鏡で観察した結果、同一フィラメント上で動作する複数のミオシンヘッドを観察することができた。また、上記の計測では1次元方向の座標の変位を検出していたが、将来の応用のために2次元計測を可能とする光学系を設計、試作した。この方法では、蛍光像の信号を2光路に分岐し、一方の光路で画像を回転し、両方の光路を分光器に導いた。それぞれの画像でxおよびy座標を推定することができる。ここで、同じ量子ドット由来の2つの蛍光輝点をペアリングするために、各輝点の強度揺らぎの時間プロファイルの間の相関係数を用いることを提案し、方法論を構築した。統計的有意な相関係数とフレーム数の関係を実験とシミュレーションにより明らかにした。この方法を用いて、実際に1本のアクチンフィラメント上の複数のミオシン5の運動を、2次元的にトラッキングすることに成功した。これらの研究成果をまとめた論文を執筆し、研究期間終了時までに科学専門誌に投稿した。
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