Furry(Fry)は進化的に高度に保存された遺伝子であり、NDRキナーゼと協調して細胞の形態形成時における極性化・伸長などに関与している。また、哺乳類細胞のFryは微小管結合能を有し、体細胞分裂時における双極性紡錘体の正常な形成に必須である。最近、劣性遺伝性精神遅滞の原因遺伝子としてFryのC末端欠損変異体(R1197X)が同定された。私たちは、この変異体に相当するFry断片変異体(N-1196)を作製し、その機能解析を進めてきた。これまでに、 Fry(N-1196)変異体ではN末端側に見られる微小管の安定化能が顕著に低下していること、分裂期キナーゼであるPlk1との結合能が失われていることを明らかにした。さらに、FryとNDR1との相互作用を解析したところ、Fry(N-1196)変異体ではNDR1との相互作用が顕著に失われていた。以上の結果から、Fry(N-1196)はNDRキナーゼに対する活性化能も消失している可能性が強く示唆された。 さらに、Fryが新たにMSTキナーゼの活性化に関わるSav1とも相互作用することを新たに見出した。このことから、FryはPlk1やNDR1に加えて、MSTキナーゼの機能も寄与している可能性が示唆された。
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