研究課題/領域番号 |
26840065
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
研究代表者 |
蜷川 暁 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 特別協力研究員 (80647991)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小胞体関連分解 / 糖鎖 / マンノーストリミング / EDEM |
研究実績の概要 |
小胞体で新規合成されたタンパク質は、ジスルフィド結合や、N型糖鎖付加などの翻訳後修飾を受け、小胞体シャペロンなどの助けを借りて高次構造を形成し、正しい立体構造を獲得したタンパク質のみがゴルジ体以降の分泌経路へと進む。一方、どうしても正しい立体構造を獲得できないタンパク質は、小胞体関連分解と呼ばれる機構により小胞体から細胞質に逆行輸送され、ユビキチン・プロテアソーム系によって分解される。 小胞体関連分解には様々な経路が存在することが示唆されているが、 糖鎖依存的分解経路が最も良く研究されてきた。この経路では、マンノース9個を含むM9型糖鎖からマンノースが順次刈り込みされ基質が分解へと導かれる。しかしどの酵素がマンノーストリミングを行っているかは、10年来の議論の的であった。 TALEN法を活用して、 これまで困難であったヒト培養細胞においてEDEM1、EDEM2、EDEM3の遺伝子破壊を行い、内在性EDEM familyタンパク質の機能解析を行った。その結果、3種のEDEMタンパク質全てが糖鎖刈り込み活性を有することがわかり、さらにEDEM2は糖鎖トリミングの第1段階のみに、EDEM1/EDEM3は第2段階のみに特異的に作用すると考えられる。 次に、 糖鎖に依存して分解される小胞体膜タンパク質ATF6の分解速度を調べた。その結果、野生型細胞と比較してEDEM2欠損細胞、EDEM3欠損細胞、EDEM1欠損細胞の順にATF6分解の有意な遅延が観察された。 本研究によりEDEM family分子それぞれが特異的な糖鎖刈り込み活性を持つことが分かった。またEDEM2が糖鎖刈り込みを開始し、糖鎖依存的小胞体関連分解経路において最も重要な酵素であると分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文として発表することができ、計画通り、小胞体関連分解因子familyの機能を比較しているから。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きEDEM familyタンパク質による糖鎖トリミングの意義を検証する。糖鎖依存的な分解経路は、構造異常タンパク質と構造が不安定なタンパク質では、意義が違っているかもしれない。それを深めて行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
執行は3月中に行ったが、会計システム上、4月に処理された為、次年度使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
執行は3月中に行ったが、会計システム上、4月に処理された為、次年度使用となった。
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