胎生期肺に見られる分岐形態形成は、管腔臓器形成に必須のプロセスである。Wnt シグナルは肺分岐形態形成に関与することが報告されているが、どのような細胞機能を制御するのかは不明であった。本研究では胎児肺より単離した上皮組織の培養系をもちいて、そのメカニズムを明らかにすることを試みた。その結果、Wntシグナルは頂端部細胞骨格の発達と頂底極性に制御することによって、分裂期細胞依存的な上皮組織屈曲を制限しbudの形成を調節することを明らかにした。本研究は形態形成制御における増殖因子シグナルによる細胞機能調節のコンセプト並びに解析手法を提案するものと考えている。
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