上皮細胞シートは細胞接着装置であるタイトジャンクション(TJ)により外界と体内を隔てているだけでなく、TJは生体内の恒常性するためにその機能をダイナミックに変化させている。今日までTJのダイナミックな機能制御機構の詳細は不明であったが、申請者はAMP活性プロテインキナーゼ(AMPK)がTJの機能制御において重要な働きをしている事を明らかにした。これによりAMPKが恒常性の維持の制御機能を担っていることが示唆され、この制御機能を明らかにする事は生体の恒常性維持のメカニズム解明に向けて非常に重要であると思われる。よって、TJに局在するAMPKの基質タンパク質の機能を解析し、AMPKによるTJ制御機能を統合的に理解する事を目的とし、研究を行った。 まずはじめに、TJに局在するタンパク質TJP1及びTJP2がAMPKの基質であることを見出した。その後、TJP2のAMPKのターゲット配列と考えられる様々な場所のリン酸化型変異タンパク質及び、非リン酸化型変異タンパク質を作成した。これらを大腸菌に発現させ、in vitroでAMPKと反応させることで1箇所のAMPKのターゲット配列を決定することができた。そしてTJP2のKO細胞をCRSPR DNA editing法を用いて作成し、TJP2の変異タンパク質及び、非リン酸化型変異タンパク質をKO細胞に発現させ、AMPK制御におけるTJP2の機能の解析行った。また、細胞内でのAMPKの活性を可視化するために、AMPKの基質であるタンパク質の蛍光共鳴エネルギー移動を利用したFRETプローブの作成を試みた。
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