研究課題
多くの多細胞生物は、幼若期から成熟期へ至る過程で外部形態や生理状態を劇的に変化させる。この発育プログラムの進行に中心的な役割を担うステロイドホルモンの生合成は、栄養条件や光周期条件などに外的要因に応じて適当的に調節されている。しかし、いつ、どのくらいの量のステロイドホルモンを生合成・分泌させるのかを決定する分子機構には未だ不明な点が多い。本研究では、キイロショウジョウバエを用いて、光受容体の1つであるロドプシン2がステロイドホルモン生合成器官でシグナル伝達を行う可能性を検証し、ホルモン生合成との関連を明らかにすることを目指した。本研究では、ロドプシン2のノックアウト個体のショウジョウバエ系統を作製し、その表現型解析を行った。これまでの研究で、トランスジェニックRNAi系統を利用して、ロドプシン2の機能をステロイドホルモン生合成器官である前胸腺でノックダウンしたところ、蛹になるタイミングが遅れる表現型が観察されていた。ところが予想に反して、ロドプシン2のノックアウト個体では同じ表現型が見られず、蛹になるタイミングの遅れは観察されなかった。ノックアウト個体の発育過程に異常が見られなかったことから、成虫の行動に何か異常があるかどうかを調べるために、Drosophila Activity Monitor システムを用いて、行動リズムを解析した。しかしながら、コントロールと比べて顕著なリズムの変化は見られなかった。以上の結果により、ロドプシン2がステロイドホルモン生合成に関与する可能性は低いと結論した。
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