研究課題/領域番号 |
26840075
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 昌和 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (60580496)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 平面内細胞極性 / ゲノム編集 / 顔面形成 |
研究実績の概要 |
これまでに、鼻の形態形成に関わる分子メカニズムを解明した。Wnt5aの勾配と軟骨細胞における平面内細胞極性因子が軟骨の収斂伸長をうながし、鼻を伸長させることが前年度までの研究によって明らかにした。Wnt5aは器官形成期において鼻や顎を含む顔面だけでなく、四肢などの組織においても発現が認められる。今後、Wnt5aの発現制御機構に迫るため、より簡便なゲノム編集法を開発をこころみた。 私たちが以前に開発したエレクトロポレーションを用いてCas9 mRNAとgRNAを導入するものや、古典的な手法であるマイクロインジェクションによるものでは、これまでのゲノム編集F0マウスはさまざまなindelをもつモザイクな状態であり、個体内の全ての細胞でノックアウトされているかどうか検証が難しかった。これはmRNAの翻訳が受精卵の最初のDNA複製後におこっており4アレル以上ある状態でゲノム編集が起こっていたためと考えられる。そこで、私たちはCas9 mRNAの代わりに核移行シグナル付きのCas9蛋白質をエレクトロポレーションにより、人工受精によって得られた受精後まもない受精卵に導入する事でモザイクの状態ではない変異マウスを作出することに成功した。さらには、ssODNの共導入による塩基置換や2カ所のgRNAによる間の配列の欠損なども可能である事を示した(現在論文投稿準備中)。これによって、F0世代での変異マウスの解析がより容易になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究に使用するマウスのコロニーが少なくなったことにより、ノックアウトマウスのサンプルがなかなか得られなかった。また異動などに伴い、投稿露文のリバイス実験に時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に論文の受理を目指し、リバイス実験や原稿修正などを行う。 Cas9蛋白質エレクトロポレーションによって、F0世代での変異マウスの解析がより容易になったので、Wnt5aの鼻における発現制御領域などについても解析を進め、様々な動物種、あるいは同種における品種間でのゲノムを比較する事により、顔面形成における役割を調べていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度に実験内容変更に伴い経費削減できたが、論文投稿の際に査読を通して追加実験が必要になった。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度に共同研究者との打ち合わせ、追加実験および論文の再投稿を行うこととし、未使用額は消耗品や打ち合わせ旅費に充てたい。
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