動物の体が形づくられるとき、多数の細胞が協同して力を発し自らを変形させる。その際、生体組織自身の硬さ・粘さといった力学的性質が適切に制御されていることが必要である。そういった物理パラメータを見積もるため、組織を圧縮したり切断したりといった外的操作によって変形させて力学的応答を観測するという手法がしばしば用いられる。しかし、そのような外力は自発的な形づくりの過程を阻害してしまう。この問題を回避するため我々は、細胞組織のマルチフィジックスモデルを構築し、そのパラメータを顕微鏡動画データにもとづき統計学的に推定するという手法を提案し、培養細胞シートを用いてその有効性を示した。
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