ワカレオタマボヤ Oikopleura dioicaは、10時間という器官形成の早さ、約3000個と少ない細胞数などユニークな特性を備える。発生生物学の新しいモデル動物として位置づけ、遺伝学技術の導入と発生現象の調査を進めた。2年の研究期間内に、(1) 卵と幼生における全mRNA配列の決定、(2) 二本鎖DNAを介する遺伝子の機能阻害現象の発見、(3) 電子顕微鏡による成体の形態情報の取得、(4) 表皮細胞のパターン形成や、体の左右性に関連した細胞系譜の非対称性の解析、(5) 胚の組織染色を効率的に行う方法の開発、(6) ゲノム配列の取得および発生時系列をカバーした全転写産物量の決定を進めた。
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