ヒトCDX2を誘導した状態で、ヒトES細胞からの腸管上皮誘導法を試行し、免疫染色により分化マーカーの発現を解析したところ、予想とは異なり、小腸上皮細胞への分化が抑制された。トランスクリプトームデータを並列的に解析し、各組織との相同性を計算したところ、CDX2誘導株は、全体として神経細胞に近しく、CDX2の下流遺伝子と想定していた腸管内分泌マーカー遺伝子として知られるNEUROG3は、カルシウム作動性かつ電気生理学的な活動電位を有する成熟した神経細胞様細胞へと分化することが確認された。これらの知見は実験計画時には想定していなかったが、結果として論理的に妥当な新知見を得ることができた。
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