研究課題/領域番号 |
26840090
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉田 啓亮 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (40632310)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レドックス制御 / 葉緑体 / チオレドキシン / シロイヌナズナ |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、葉緑体の機能調節を司るレドックス制御ネットワークの分子基盤および生理意義を明らかにすることである。平成26年度は、葉緑体に存在する5つのチオレドキシンサブタイプがどのように使い分けられているのかを明らかにするため、組換え体タンパク質を用いてチオレドキシンサブタイプ間の標的タンパク質の還元効率の違いを調べた。また、変異株植物を用いてチオレドキシン標的タンパク質の生体内でのレドックスダイナミクスを可視化することにより、生化学実験により得られた知見がどの程度植物体内でも成立するのかを調べた。これらの研究により、葉緑体内のチオレドキシンシステムを介した複雑なレドックスネットワークの一端を明らかにしたとともに、生体内では他のシステムが協調的にレドックス制御に関与していることを示唆する興味深い結果が得られた(Yoshida et al., J. Biol. Chem., in press)。現在、その他のシステムの候補因子について、組換え体タンパク質を用いた生化学実験および変異株植物を用いた生理学実験を行っており、葉緑体のレドックス制御ネットワークの全貌を明らかにしようと試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の当初の目標は、レドックス制御ネットワークを構成する因子の変異株植物のラインナップ、被レドックス制御タンパク質のレドックス状態の包括的解析および個別の詳細な解析、生化学的解析によるネットワーク基盤の解明と設定していた。このうち、レドックス状態の包括的解析以外はおおむね予定通り達成できた。また、次年度の目標であった変異株植物の生理特性の分析がかなり進行させることができた。これらを総合的に考えると、おおむね順調に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、研究実績の概要の欄で述べたチオレドキシンシステムとは別のレドックス制御候補因子の生化学・生理学的な分析を進め、その実態を解明する。また、現在までに得られている変異株植物の生理パラメータを分析し、各植物が欠損している因子の生物学的重要性について評価する。
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