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2014 年度 実施状況報告書

シロイヌナズナ初期胚発生において放射軸を規定する分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26840094
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

宮島 俊介  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20727169)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードシロイヌナズナ / 胚発生 / 放射パターン
研究実績の概要

維管束組織の形態形成の基本モジュールである放射パターンは、「中心-周縁」を規定する放射軸に沿って形成される。シロイヌナズナ胚は、受精後から16-cell 期まで球状の形態だが、初期胞胚期lt 領域において、内側から前維管束(provascular:Pv)、基本組織(ground tissue: Gt)及び前表皮(protodererm: Ptd)の組織系が作り出され、円柱状の形態へと移行する。つまり、16-cell 期から初期胞胚期にかけてlt 領域で行われるパターン形成が、維管束植物に共通して見られる構造モジュールの発生的起源である。シロイヌナズナの根では、維管束組織でHD-ZIP III遺伝子群が、またこれを抑制するMicorRNA165/166(MIR165/6)が基本組織で発現し、放射パターンを制御する。これまでに、この構造変換とともにMIR165/6 遺伝子が発現を変化させていくことを見出している。
本計画では、第一に胚発生においてMIR165/6の発現を規定するシスおよびトランス因子を同定することから、放射軸の形成過程を上流で制御する鍵因子する事を目的にする。さらに、これまでの植物形態形成過程においては、symplastic経路を介した細胞間相互作用の重要性がしられている。そこで、第二にsymplastic 経路を阻害する系を用いて、この胚発生での放射軸の形成過程においてどのような細胞間相互作用が存在を確認する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画1に記載した、MIR165Aプロモーターのシス及びトランス因子の同定に関しては、MIR165Aプロモーターのdeletion解析から、シス因子を含む領域の絞込みを行った。具体的には約3kbのMIR165Aプロモーターのdeletionシリーズを作成し、胚におけるMIR165Aの発現開始に十分な約700bpの領域を特定した。さらに、MIR165Aの標的であるHD-ZIP III転写因子群についても、その転写およびタンパク質の発現パターンを確認した。その結果0、シロイヌナズナに5つ存在するHD-ZIP III遺伝子群は、それぞれ胚発生においてダイナミックに発現領域を変化させていることが明らかになった。
また研究計画2に記載したPD を介した細胞間情報伝達経路を阻害する系を用いた解析に関しては、初期胞胚期lt 領域Pv に特異的なicals3m 系統(pWOL::icals3m)を導入したpMIR165Aレポータラインの作成を完了した。今後は、この構築した実験植物体をもちいて、胚発生におけるsymplasticな細胞間相互作用の機能を確認する。

今後の研究の推進方策

研究計画1に記載した、MIR165Aプロモーターのシス及びトランス因子の同定に関しては、MIR165Aプロモーターのdeletion解析から、シス因子を含む領域の絞込みを行った。今後Y1Hアッセイによるトランス因子の同定を行う。今後Y1Hアッセイを開始する予定であるが、今回、Y1Hアッセイに関しては、通常のライブラリーでなく、転写因子のみを含むライブラリーの利用予定しており、効率よくトランス因子の同定を目指す。Y1Hアッセイによるトランス因子の同定後は、それられ転写因子に対して分子遺伝学的解析を行う。また、これまですでに知られている胚発生に異常をもつ変異体背景におけるMIR165Aの発現を確認することも追加で予定している。同時に、初期胞胚期lt 領域Pv に特異的なsymplastic経路を阻害するicals3m 系統(pWOL::icals3m)を導入したpMIR165Aレポータラインの作成を完了した。今後は、この構築した実験植物体をもちいて、胚発生におけるsymplasticな細胞間相互作用の機能を確認する。さらに、MIR165A以外にも放射パターン形成にかかわる因子に対してもこのpWOL::icals3mを導入することから、さらにsymplastic経路の必要性を解明する。

次年度使用額が生じた理由

研究計画1に記載した、MIR165Aプロモーターのシス及びトランス因子の同定に関しては、MIR165Aプロモーターのdeletion解析に予測異常の時間がかかった。そのため、予定していたY1Hアッセイが次年度にずれ込むことになった。そのために平成26年度の予算執行額が当初の予定に満たなかった。また、研究計画の遂行のために、本年度は参加を予定していた海外での学会参加を見合わせたこともあり、旅費として計上していた予算の執行を見合わせることになった。

次年度使用額の使用計画

昨年度に執行できなかった予算に関しては、申請書に記載した実験計画の遂行することで、的確に執行する。それに加えて、論文発表および海外学会での発表も行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] A molecular mechanism that confines the activity pattern of miR165 in Arabidopsis leaf primordia.2015

    • 著者名/発表者名
      Tatematsu K, Toyokura K, Miyashima S, Nakajima K, Okada K.
    • 雑誌名

      Plant J.

      巻: 該当無し ページ: 該当なし

    • DOI

      10.1111/tpj.12834.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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