シロイヌナズナ初期胚発生において放射軸を規定する分子基盤の解明

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26840094
• 研究機関: 奈良先端科学技術大学院大学
• 研究代表者: 宮島 俊介 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20727169)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 胚発生 / MicroRNA / シロイヌナズナ

研究実績の概要

本計画では、胚発生においてMIR165/6の発現を規定するシスおよびトランス因子を同定することから、放射軸の形成過程を上流で制御する鍵因子する事を目的にする。
MIR165Aプロモーターのシス及びトランス因子の同定に関しては、MIR165Aプロモーターのdeletion解析から、胚におけるMIR165Aの発現開始に十分な約700bpの領域に、前表皮においてMIR165Aの発現を正に制御する領域(領域Ａとする)、および、ut領域において発現を抑制しMIR165Aの発現をlt領域に限定化するための領域(領域Bとする)、２つの独立したシス制御領域を同定した。また、これらの領域Aおよび領域Bは、MIR165A遺伝子のみでなく、発現様式を同様にする他のMIR165/6遺伝子においても、保存されていた。さらに、これらの領域をbaitとして、Yeast-one hybrid(Y1H)アッセイを試みたが、これらシス領域に結合するトランス因子は検出されなかった。
そこで、同定されたシス制御領域の配列情報から、既存の転写因子の結合配列を探索したところ、前表皮での発現を正に制御するのに必要な領域Aにおいて、前表皮の細胞分化を誘導するHD-ZIP IV遺伝子群に属するATML1およびPDF2の結合配列が、また、ut領域での発現利抑制に機能する領域Bにおいて、MIR165/6の標的遺伝子であるREVOLUTAの結合配列が見出された。実際にatml1 pdf2の二重機能欠損体では、前表皮でのMIR165Aの発現が著しく減衰し、REVOLUTAの属するHD-ZIP III遺伝子の多重変異体では、ut領域の前表皮においてMIR165Aの発現が検出された。
これらの結果から、初期胞胚期でのMIR165A遺伝子の発現様式の決定に、異なるクラスに属するHD-ZIP型転写因子が、独立して機能することを明らかにした。

研究成果

• [雑誌論文] AINTEGUMENTA and the D-type cyclin CYCD3;1 regulate root secondary growth and respond to cytokinins. (2015)
  • 著者名/発表者名: Randall RS, Miyashima S, Blomster T, Zhang J, Elo A, Karlberg A, Immanen J, Nieminen K, Lee JY, Kakimoto T, Blajecka K, Melnyk CW, Alcasabas A, Forzani C, Matsumoto-Kitano M, Mähönen AP, Bhalerao R, Dewitte W, Helariutta Y, Murray JA.
  • 雑誌名: Biol Open. 巻: 4 ページ: 1229-1236
  • DOI: 10.1242/bio.013128.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著