研究課題
現在までに、エンドサイクルへの転換にはE3ユビキチンリガーゼの活性化因子であるCCS52A1が中心的な役割を果たしていると考えられている。本研究では、CCS52A1を中心とした制御メカニズムを明らかにすることで、エンドサイクル制御の総合的理解を目標とする。以前までの結果から、DNA損傷阻害剤であるゼオシンを植物に処理するとエンドサイクルへの移行が促進されることが明らかにされている。そこで、本年度は環境ストレスとエンドサイクルとの関係を調べたところ、ゼオシンを処理するとCCS52A1遺伝子の発現が増加することを発見した。さらに組織レベルでCCS52A1遺伝子の発現領域を調べたところ、根の移行領域で特異的に遺伝子発現が誘導されることを明らかにした。次に、サイトカイニンとの関係についても調べたところ、ゼオシンを処理するとサイトカイニンの生合成に関わる遺伝子の発現が誘導されることを明らかにした。さらに、それら遺伝子も根の移行領域で特異的に誘導されることを発見した。これらの結果から、植物は環境ストレス下にさらされると、根の移行領域でサイトカイニン合成を活性化させ、その下流にいるCCS52A1遺伝子の転写を誘導することによりエンドサイクルへの移行を促進させていると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
環境に応じたCCS52A1遺伝子の発現制御機構を明らかにすることが出来たことから、本研究計画がスムーズに進行している。
CCS52A1遺伝子の転写制御に関わる転写因子を複数単離している。今後は、それら転写制御因子の機能を明らかにするとともに、環境ストレスとの関係も明らかにする。
平成26年度に、CCS52A1遺伝子の発現調節に関わる転写因子の機能解析を行い、その結果を基に学会発表および論文発表を行う予定であったが、発現調節に関わる因子が予想より多数単離されたために、計画を変更してそれら多数の遺伝子の機能解析を細かく行なうことにしたため、未使用額が生じた。
このため、学会発表および論文発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Plant Signaling & Behavior
巻: 9 ページ: e29396
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Plant Cell
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