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2015 年度 実施状況報告書

昆虫における菌細胞共生進化解明のためのカメムシゲノム解読と形質転換系統の作製

研究課題

研究課題/領域番号 26840116
研究機関琉球大学

研究代表者

松浦 優  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (80723824)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードゲノム / 菌細胞 / ヒメナガカメムシ / 細胞内共生 / de novo アセンブル
研究実績の概要

多くの昆虫種が「菌細胞」と呼ばれる特殊な細胞を有し,その細胞内に必須共生微生物を保持することで,昆虫―微生物間の強固な共生関係を成立させている.これまでの研究では,菌細胞を有する昆虫種に本格的な遺伝学的手法を適用できる実験モデル系が存在せず,菌細胞の発生を司る分子機構や細胞内共生の維持機構に関する研究手法が頭打ちとなっている.そこで,本研究では菌細胞を新規に獲得した種であるヒメナガカメムシを細胞内共生のモデル種に昇華させ, 菌細胞の獲得の分子基盤を解明することを目的としてそのゲノム解析とゲノム編集を行う.

本年度は,paired-end法のライブラリに加えて、新たにヒメナガカメムシのDNAを用いてmate pairライブラリを作製した. HiSeq1500によりシークエンスを行って,各ライブラリにつき200bp(4.5億リード),800bp(3500万リード),5.6kb(2億リード)、9kb(9300万リード)の配列が得られた。k-mer分布解析の結果,x100程度の十分なデータ量が得られたことが推定された。Platanusによってde novoアセンブルを試みたところ、コンティグ数 857,241,全長で808Mbと,フローサイトメーターによって推定された程度のゲノム長を得ることができた.しかしながら,N50の値は3.5kbにとどまり,良好な結果であったとはいえない。
次に,ゲノム編集技術の導入のため, ヒメナガカメムシを用いてCRISPR/Cas9による遺伝子のノックアウト実験を行う準備を進めていたが,所属機関の異動により年度の途中で実験実施場所の変更を余儀なくされたので,結果が得られる前に実験を中止した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ゲノムシークエンスについては,シークエンスおよびアセンブルにおいて良好な結果が得られなかったため,評価や再解析に時間を要している. ゲノム編集などの技術導入については,年度途中の所属機関変更に際し,実験を中止したため結果が得られていない.

今後の研究の推進方策

所属機関の変更に伴い年度内の研究課題の目標達成に間に合わなかったため,平成28年度に延長を申請した.ゲノム解析に関連して追加実験はせず,これまでに得られたデータを用いた解析に専念する.ゲノム編集については,できるだけ早く実験環境を整えて実行する.

次年度使用額が生じた理由

年度の途中に所属が変更となり,当初の計画期間内で予定していた助成金を使用できなくなった.

次年度使用額の使用計画

研究実施場所の変更にともなって,新たに実験用の備品および消耗品を調達する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ultrabithorax is essential for bacteriocyte development.2015

    • 著者名/発表者名
      Matsuura, Y., Kikuchi, Y., Miura, T., Fukatsu, T.
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America.

      巻: 112 ページ: 9376-9381

    • DOI

      doi:10.1073/pnas.1503371112

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Burkholderia of plant-beneficial group are symbiotically associated with bordered plant bugs (Heteroptera: Pyrrhocoroidea: Largidae).2015

    • 著者名/発表者名
      Takeshita, K., Matsuura, Y., Itoh, H., Navarro, R., Hori, T., Sone, T., Kamagata, Y., Mergaert, P., Kikuchi, Y.
    • 雑誌名

      Microbes and Environments.

      巻: 30 ページ: 321-329

    • DOI

      doi:10.1264/jsme2.ME15153

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ヒメナガカメムシ菌細胞の形成に関わる遺伝子群の探索2016

    • 著者名/発表者名
      松浦優, 小川浩太, 松波雅俊, 菊池義智, 重信秀治, 深津武馬, 三浦徹
    • 学会等名
      日本昆虫学会第76回大会・第60回日本応用昆虫学会大会 合同大会
    • 発表場所
      大阪府立大学中百舌鳥キャンパス(大阪府堺市)
    • 年月日
      2016-03-29
  • [学会発表] Hox 遺伝子が司る共生器官の発生 ーナガカメムシにおける菌細胞の進化ー2015

    • 著者名/発表者名
      松浦優
    • 学会等名
      日本進化学会第17回東京大会
    • 発表場所
      中央大学後楽園キャンパス(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-08-21
  • [学会発表] Bacteriocyte development regulated by Hox genes in an insect, Nysius plebeius2015

    • 著者名/発表者名
      Matsuura, Y., Kikuchi, Y., Miura, T., Fukatsu, T.
    • 学会等名
      Gordon Research Conference, Animal-Microbe Symbioses
    • 発表場所
      Waterville Valley(New Hampshire, USA)
    • 年月日
      2015-05-22 – 2015-05-23
    • 国際学会
  • [備考] 産業技術総合研究所プレスリリース「昆虫の共生のための細胞がどのようにできるかを解明」

    • URL

      http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150714/pr20150714.html

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公開日: 2017-01-06  

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