研究課題/領域番号 |
26840118
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇野 好宣 名古屋大学, 生命農学研究科, 研究員 (60609717)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | FISH / ポリプテルス / 染色体地図 / 核型進化 / マイクロ染色体 / 四肢動物 / 条鰭類 |
研究実績の概要 |
前年度では、複製R-分染染色体標本を用いた条鰭類のポリプテルスにおけるFISHマッピングを行うことで、ポリプテルスの染色体地図を作製し、ゲノム情報が公開されている他の脊椎動物種である魚類のメダカやガー、四肢動物のネッタイツメガエルやニワトリ、ヒトのゲノム・染色体情報と比較することで、ポリプテルスと他の脊椎動物種間の相同染色体領域を同定し、脊椎動物の共通祖先から羊膜類に至るマイクロ染色体の進化過程の推定を行った。本年度では、ポリプテルスの染色体地図を、遺伝連鎖地図が最近報告された有尾両生類であるメキシコサンショウウオとブチイモリのゲノム・染色体情報と詳細な比較を行うことで、四肢動物と条鰭類の共通祖先の核型を推定し、マクロ染色体を中心に核型進化過程の考察を行った。その結果、四肢動物の共通祖先や条鰭類の共通祖先は、ニワトリのマイクロ染色体に相同な14個の遺伝連鎖群と相同なマイクロ染色体をもつだけでなく、ニワトリのマクロ染色体に相同な9個の遺伝連鎖群も保持されていた。そのうち、ニワトリ4番染色体長腕とZ染色体連鎖群が融合した1対の大きなマクロ染色体(4q/Z)を保持していた可能性が強く示唆された。また、四肢動物の共通祖先では、ニワトリ2番染色体と3番染色体の遺伝子連鎖群に相同な2対のマクロ染色体(2, 3)を保持していたが、条鰭類の祖先ではこの2つのニワトリ連鎖群がそれぞれ2対の染色体対(2a, 2b, 3a, 3b)として保存されていたことが新たに示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度に実施予定であったハイギョの解析を進行中であるが、実験方法の確立のための条件検討がうまくいっておらず、いまだハイギョにおける効率の良い染色体標本作製方法が確立されていないため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、ハイギョを用いた解析を行い、この種における染色体標本作製方法の確立を行うことで、ハイギョの遺伝連鎖群やゲノム染色体構造を明らかにし、ポリプテルスの比較染色体地図により推定された四肢動物の祖先核型の妥当性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
いまだハイギョを用いた効率のよい染色体標本の作製およびFISH解析が確立できておらず、条件検討の予備実験が数多く必要であると考えられるため。
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次年度使用額の使用計画 |
ハイギョを用いた解析において、実験動物や細胞培養試薬、FISH用試薬をより多く使用することが予想されるため、次年度使用額をそれらの研究試薬に充てる。
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