「高速遊泳魚の側線系は退化傾向にある」という“定説”を,蛍光色素DiAspによる生体染色法を用いて全身の側線系を詳細に観察し,再検討した.本研究での観察種にこれまでの知見を加え,16目53科107属170種以上の種において,側線系を比較・検討した結果,「系統類縁関係を超えて,高速遊泳魚の側線系が退化傾向にあるとは言えない」との結論に至った.サバ科クロマグロやアジ科ブリ等の高速遊泳魚の側線系に特別な傾向が認められず,メバル科やスズメダイ科,ヘビギンポ科の側線系と大枠で類似していたからである. 一方,同じ科や同じ属内の種を比較すると収斂傾向と見受けられるケースもあった.
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