配偶システムに著しい多様性が認められ、なかでも他に類をみないほど安定した一夫一妻を維持することが知られるヨウジウオ科魚類をモデル系として、一夫一妻維持の至近的機構として働く神経内分泌とその遺伝基盤を解明するため、配偶システムに変異のある4種のヨウジウオ科魚類を対象として、全脳における遺伝子発現パターンの定量比較を行い、ペアボンド維持に関係する候補遺伝子の網羅的な探索をおこなった。平成27年度は、一夫一妻の1種(Hippocampus abdominalis)の飼育実験を行い、これにより4種すべての分析試料が得られた(一夫一妻のイシヨウジの雌雄2ペア、H. abdominalis雌雄1ペア、複婚のヨウジウオ雌雄2ペア、オクヨウジ雌雄2ペア、計14サンプル)。得られた試料から抽出したRNAを鋳型にcDNAを合成し、次世代シーケンサー(HiSeq2500)を用いてRNA-Seqによる遺伝子発現定量解析を行い、平均6500万リードが得られた。得られたシーケンスデータを昨年度作成したリファレンス配列にマッピングし、配偶システムタイプ間で発現量に変異のある遺伝子の特定を現在進めている。
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