生物多様性は生態学の大きな課題であり、多様性の維持機構の解明は急務である。従来の「中立モデル」は移入と局所的絶滅のバランスが多様性を決定すると説明するが、そこでは種内競争や種間の競争・被食捕食・共生関係は過小評価されていた。そこで種内・種間の競争を第3の要因として陽に取り入れた理論モデルを開発し、多様性維持に果たす役割を探った。その結果、共生や競争は少数の優占種と多数の希少種を生み、被食捕食関係は中間種を多数生み出すことを見出した。また「中立」群集からのズレは、単なる種の総数ではなく、頻度で重み付けして算出した多様性指数を用いると検出できることを発見した。
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