研究課題/領域番号 |
26840144
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山本 哲史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 研究員 (10643257)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 菌根共生 |
研究実績の概要 |
研究実績の概要(1600バイトまで、改行5回まで) 植物は菌根菌との共生によってリンや窒素など成長に不可欠な栄養を効率良く獲得することができる。陸上植物種の90%以上が菌根菌と共生しており、菌根共生は植物の生存・成長にとって不可欠であると考えられている。菌根菌の種類によってホスト植物へ対する効果が異なるという知見が得られており、ホスト植物の適応度(成長や繁殖可能性)は共生する菌根菌のレパートリーによっても左右されることが予想される。 本研究では、菌根共生の進化によって植物集団が生息地へ適応しているという仮説の検証を目指す。この菌根共生と呼ばれる共生において植物と菌根菌が互いにどの種と共生するかは、それぞれの遺伝的背景によってある程度決定されると考えられる。特定の環境条件でホスト植物の適応度を高める菌根菌があった場合、その菌と共生可能な遺伝的背景を持つ植物個体はその環境においてより多くの子孫を残すことができ、時間とともに、その菌との共生を可能にしている遺伝子が植物集団内に広がる。本研究では、菌根共生に関わる遺伝的領域を植物ゲノムの中から探索し、植物が菌根共生によって環境適応していることを集団遺伝学的解析によって検証する。 現在までに、共生菌根菌のレパートリーが個体ごと、集団ごとに異なることを明らかにすることを目的に、同じ圃場内で多数の植物(アカマツ)を種子から成長させ菌根共生した実生サンプルを得た。共生菌根菌の解析を始める前に、各植物個体の根の形状や地上部のサイズなどを計測しデータを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画のスタート時、研究拠点を異動したことにより、研究計画を一部修正する必要性ができた。本研究では圃場で植物を育てる必要があったが、拠点を異動したことで、実験圃場の確保を1から始めることになった。そのため播種の時期が遅くなり、データ取得の可能な実生サンプルを得る時期が当初の計画よりも遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
データ取得の可能な実生サンプルの数は当初計画よりも少ないが、このまま共生菌根菌の解析を進める。この場合、検出可能な菌根菌の種数などは減る可能性もあるが、植物の遺伝子解析時には1個体毎のデータ精度が高くなるという利点がある。個体ごとの遺伝的組成のデータの精度が高くなるという利点を利用して、菌根共生に関わる遺伝子を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ取得の可能な実生サンプルを得る時期が遅れたために、実生の遺伝的組成解析ができなかった。そのために、遺伝的組成の解析で使用するための予算が残ってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
得られた実生サンプルの遺伝的組成を解析するため試薬代および外注費として使用する。
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