トビケラ幼虫の多くは、川砂を綴り合せた巣を作る。本研究では川底の砂で持ち運び式の筒巣を作るトビケラ幼虫を使い、巣材の選好性について調査した。その結果、一つの集団内で不連続に異なった選好性(多型)を示すことが明らかになり、この多型は単一の遺伝子座によって支配的に決定されている可能性が示唆された。飼育実験の結果、成長をより早めることができる巣材を選ぶ幼虫は、より早く羽化することができるが、この羽化個体が産んだ子は、成長が遅れた幼虫からの共食いの危険にさらされるために成長が抑制されることが分かった。このように多型の維持には「共食いの間接的作用」が鍵となっている可能性が示唆された。
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