遺伝的変異を生じないクローン繁殖を行う植物におけるエピジェネティクス機構を明らかにするため、クローナル植物3種のクローン株を光強度もしくは水環境の異なる環境下で栽培し、形態変化とDNAメチル化変異を調べた。その結果、異なる条件間では開花数や葉数,葉の質感などに差異が見られたが、その子孫株には継承されなかった。バイサルファイトシーケンス解析では、条件間でのメチル化差は平均2%(最大40%)であり、DNAメチル化状態が大きく変化しないことがわかった。したがって、実験での継承世代では、子孫株はその経験した環境に迅速に応答する一方、DNAメチル化変異は安定的で変化はほとんど生じないことが確認された。
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