ジャワ原人の脳および周辺の解剖学的特徴と進化傾向を明らかにするため、CTデータを基に頭蓋腔の形態を分析した。その結果、初期ジャワ原人と中期更新世以降の個体との間には従来の報告以上に脳容量に差があったこと、ジャワ原人は現代人の基準に照らして、大脳の容積に見合う小脳の容積を持っていたこと、初期ジャワ原人に対して後期ジャワ原人は、脳容量の差以上に前頭葉の幅が大きく、したがって前頭葉の幅の増加は現生人類と原人を区別する特徴とは言い難いこと、中硬膜動脈は現代人ではごく一部の例外を除き、顎動脈から分枝するが、一部ジャワ原人個体の中硬膜動脈前枝は眼動脈系から起始していた可能性が高いことなどが明らかになった。
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