本研究では、2-3歳の子どもをもつ親を対象に食事場面の動画を用いたfMRI実験により、他人の子と比較したわが子に対する脳活動を計測し、特に養育行動の動機づけ(親のわが子への愛情)に重要とされる前頭眼窩皮質、中脳水道周囲灰白質/背側縫線核、前島皮質、腹側淡蒼球の4領域について、父親と母親の違いを検討した。 その結果、母親で有意な活動を示し、父親では認められなかった領域は、報酬系の制御や報酬の価値判断に中枢的な役割を果たす前頭眼窩皮質であった。前頭眼窩皮質を含む母親の脳メカニズムは、日常の育児において効果的で適応的な応答を支えていることが示唆された。
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