イネ品種台中65号のMNU処理後代より同定されたsegmented embryo(sem)変異体は一つの胚が複数に分割された胚発生変異体である。胚発生初期において、sem変異体では極性の構築が異常となり、一つの未熟胚から複数の細胞塊が分割され複数の胚が形成された。SEM遺伝子はメバロン酸合成経路に関与する酵素をコードしており、メバロン酸合成の阻害剤処理を行ったところsem表現型を再現することができた。以上の結果から、メバロン酸合成経路により作り出される代謝産物はイネ胚発生初期における極性の構築とその後の器官形成において重要な役割を担うことが明らかとなった。
|