イネは、濁りの少ない水と比べ、濁水で冠水に遭うと退水後の回復が低下するが、濁水冠水下の生理反応には不明な点が多い。本研究では、濁水冠水がイネ品種の光合成活性に与える影響を葉のクロロフィル蛍光を用いて解析した。55品種を用いた試験で、清水冠水区および清水冠水区を遮光シートで覆った遮光冠水区、培養土を溶かした濁水冠水区の冠水中の伸長草丈および退水後の回復程度は、品種と冠水条件間で相互作用が認められ、冠水条件によって品種の反応が異なる可能性が示唆された。冠水抵抗性遺伝子Sub1Aを持つ品種は冠水中で葉の葉緑素の分解を抑え、光合成活性を高く維持していたが、濁水冠水下では光合成活性の低下が促進された。
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