核内倍加とは有糸分裂を伴わずに核DNAが複製され、核内DNA量が増加する現象である。本研究では、核内倍加が水稲胚乳組織の発達に及ぼす影響を明らかにするため、(1)水稲胚乳における核内倍加の時間的・空間的進行、(2)核内倍加の遺伝的差異、(3)栽培・環境条件による核内倍加の変動について検討した。核内倍加は胚乳の中心部と周縁部に比べてその中間部で核内倍加が進行しており、核内倍加が進行している細胞は大きさが大きかった。また、核内倍加の進行には品種間差があり、異なる品種における核内倍加と細胞の大きさの間に有意な相関が認められた。加えて、核内倍加は登熟期の高温によって抑制される傾向が認められた。
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