研究課題/領域番号 |
26850012
|
研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
提箸 祥幸 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター寒地作物研究領域, 主任研究員 (20414617)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | イネ / 低温順化 / 低温ストレス耐性 |
研究実績の概要 |
熱帯起源の植物であるイネは、これまで温帯・亜寒帯を起源とする植物のように低温順化機構を持つと考えられてこなかった。しかし、近年イネにおいても徐々に強い低温に曝されていく過程で低温耐性を獲得する機構があることが明らかになってきた。モデル実験植物であり我が国の最重要作物のひとつであるイネの低温順化機構を解明することは、熱帯起源植物の寒地への適応戦略を理解する上で重要であると同時に、これまでに成功していない幼苗期耐冷性に優れた品種開発の可能性もある。 今年度は様々なイネ品種の低温順化気候の遺伝的変異の評価を行った。特に北海道地域のイネ品種を中心として評価を行い、低温順化処理により低温耐性が向上することを確認した。また、おぼろづきを材料に低温順化時における代謝物及び遺伝子発現について網羅的な解析を行い、低温順化処理により多くのアミノ酸類及び糖類の量が増加することを明らかにした。今後、明らかになった代謝物及び遺伝子発現から、低温順化処理によりイネが獲得する低温耐性の分子機構を明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の中心となるメタボローム解析を済ませ、網羅的な遺伝子発現解析についても予定どおり進行できている。全体をとおして現在問題は無く課題は順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き遺伝資源の低温順化に関する遺伝変異の評価を続けるとともに、低温順化に関わる遺伝子領域の特定に向けた解析を行う。昨年度行った低温順化における代謝物及び遺伝子発現の網羅的解析の結果を整理し、定量的RT-PCRにてより詳細な遺伝子発現挙動の追跡を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
メタボローム解析が当初の請求額よりも効率的な経費で実行することができたため、次年度使用額が生じることとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の計画にあるマイクロアレイ解析等の遺伝子発現解析の充実のために使用する。また、再度追加でメタボローム解析を行う場合が生じた際には、そちらにも充てることを計画している。
|