研究課題/領域番号 |
26850013
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
黒倉 健 宇都宮大学, 農学部, 講師 (10650898)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 花成制御 / TFL1 / SOC1 |
研究実績の概要 |
バラ科モデル植物である2倍体イチゴF. vescaの花成は抑制遺伝子であるFvTFL1の制御を通じて行われており,その上流遺伝子としてFvSOC1があるとされているが,FvSOC1がどのようにFvTFL1を制御しているかは不明である.そこで前年度作成したFvTFL1推定制御領域レポーター系シロイヌナズナに加え,同じ系を組み込んだF. vescaの作成を試み,組換え個体を得た.現在は双方の系を用いてアッセイを行っている. 昨年度に引き続き,より直接的にFvSOC1の結合領域を特定するためクロマチン免疫沈降(ChIP)法の改良を試み,また同手法の栽培種イチゴ(F. x ananassa)への応用を試みている国外(スペイン)の研究者との討議も行ったが,双方とも同様の問題を抱えており有効な解決策が見出せなかった為,手法の改良は今後の検討課題とし,原理の異なる別の手法への切り替えを検討し,その為の予備実験を開始した. また,果樹において用いられている休眠打破薬剤の処理により,FvSOC1の発現量を変化させることなくFvTFL1の発現量を低下させることができることを見出し,同薬剤の処理が花成を早めることを確認した. 一方で,別種の植物を研究している国内の研究者との討議を通じて,FvSOC1と相互作用する可能性がある因子の情報がもたらされたため,F.vescaにおける相同遺伝子の単離を試みると共に,相互作用を検出する系の構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画にあったChIP法の改良が不調に終わったため,別の手法への切り替えの必要性が生じ,計画に若干の遅延を生じている.
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今後の研究の推進方策 |
FvSOC1の結合領域の検出について,組換え系を用いたアッセイを行うと共に,ChIP法ではなく,合成核酸を用いたin vitro系による検出を行い,またFvSOC1の相互作用因子の解析を行う. 今回発見した薬剤処理系を用い,同薬剤によって発現変動する遺伝子を網羅的に解析することでFvSOC1の下流因子の探索を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
ChIP法による結合領域検出が困難であり,in vitro系による検出に切り替えることを判断したのが年度末付近であったため,実験の実行を翌年度とし,予備実験に留めた.そのため使用額に計画との差額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
in vitro系による検出に用いる試薬の購入に使用する.
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