昨年度までに行ったRAD-seq解析に加えて、以下の解析を行った。1)キクタニギクAEV2由来自殖系統のS1世代からS7世代。2)リュウノウギク×キクタニギクのF1系統にリュウノウギクを戻し交雑したBC1F1集団。3)二倍体野生ギク系統。昨年度の解析では、STACKSを用いて解析を進めたが、今年度はキクタニギクのゲノム配列をリファレンス配列として使用できたことから解析手法を変更し、Bowtie2、SAMtools、VCFtoolsを用いて解析を進めた。 今年度の解析の結果、以下の結果が得られた。1)について、自殖の進行に伴いヘテロで検出される遺伝子座の割合が低下することが期待される。AEV2がヘテロで有する遺伝子座の自殖に伴うヘテロ率の変化を調べたところ、世代が進行するにつれてヘテロで検出されるマーカー座は減少しており、S7世代では系統によって異なったが平均4%(最小1%から最大6%)となり、自殖世代の進行に伴いホモ化が進行していることが確認された。2)について、これまで24系統について解析を行いラフな連鎖地図を構築したが、新たに39系統のデータを追加して解析を行ったところ、9連鎖群、145マーカーからなる414.4cMの連鎖地図が作成された。この分離集団では分枝性の分離が認められたが、関連する遺伝子座を地図上に位置付けることはできなかった。その理由として形質分離が不明確なために正確に評価できなかったこと、連鎖地図上に十分な数のマーカーが載っておらず関連を評価できなかったことが考えられた。3)について、系統解析を行った結果、キクタニギクとリュウノウギクが区分され、産地の異なるキクタニギクの系統関係が明らかとなった。
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