カーネーションの八重咲きを支配する遺伝子を明らかにするために、連鎖地図を用いた連鎖解析から八重咲き性と強く連鎖するSSRマーカーを見出した。このマーカー配列を用いてカーネーションのゲノムデータベースを検索した結果、この配列はscaffoldAに含まれるDcaB遺伝子上に存在することが明らかになった。一方、この遺伝子の隣には、花の形態形成に関与するAPETALA2型の転写因子が存在していたことから、この遺伝子が有力な候補遺伝子であると考えられた。そこで、八重品種「フランセスコ」及び一重品種「プリティファボーレ」のゲノム配列を比較した結果、「フランセスコ」では発現制御に重要と考えられる領域への1019bpの挿入配列が存在することを明らかにした。今年度は、候補遺伝子について「フランセスコ」由来のcDNA配列を用いて過剰発現のコンストラクトを作成し、一重咲きのシロイヌナズナおよびトレニアに遺伝子導入を行った。これまでに各材料で30系統以上の組換え体の作出を行ったが、花器官の形質に変化は認められなかった。今後は、ゲノム配列をもとにしたコンストラクトを作成し、組換え体を作出する予定である。 奇形花発生抑制s因子の解析のために、これまでに4組み合わせ295個体について形質の評価を行ったが、期待されるような奇形花の分離(八重:超八重=1:1)を示す集団は得られず、ほとんどが通常の八重咲きで合った。このころから、奇形花発生の抑制には別のメカニズムを想定する必要があると考えられた。
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