清流を利用する沢ワサビの栽培においては農薬使用が難しく、細菌病の対策において溶菌性バクテリオファージによる生物防除法の開発が期待されている。ワサビ罹病組織およびワサビ田の水から複数のワサビ軟腐病菌と溶菌性ファージを分離し、生物防除への利用の可能性を検討した。分離できたファージはゲノム解読により多くはPodovirus科の新種であること、それらの宿主域は軟腐病菌のゲノム配列に基づくグルーピングと相関が認められ、細菌の迅速検出やファージタイピングに利用可能であることを示し、さらにファージ感受性が変化した宿主菌の変異株の作出によりファージ感染の宿主因子を同定し、ファージセラピー開発の基盤を構築した。
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