研究課題
本研究課題では、我々が同定したシロイヌナズナキチン受容体様キナーゼCERK1と相互作用するE3ユビキチンリガーゼPUB4の機能解析を目指している。具体的にはPUB4のキチンシグナリングにおける位置づけを明確にすること、ならびにPUB4がCERK1と相互作用する意義を明らかにすることである。また我々はCERK1が生体内でユビキチン化修飾を受けることを明らかにしており、これに関わるユビキチンリガーゼの同定やそのユビキチン化の意義についても解明を目指している。本年度は、これまでの研究で示唆されてきたpub4変異体における定常状態からのサリチル酸(SA)の高蓄積に関して、SAマーカー遺伝子であるPR1、PR2、PR5の定量PCRによって裏付けを行った。結果、pub4変異体では定常からこれら遺伝子の発現レベルの増大が確認され、SA高蓄積が一部の防御応答指標に対して副次的な影響を及ぼしている可能性が強まった。また、この結果は、一般的に良く行われている変異体を用いた防御応答解析に関して注意すべき課題を提唱した。これまでの各種防御応答指標の解析並びにSAの副次的関与に関しては、論文としてまとめ、現在投稿中である。また生化学的な機能解析ではCERK1によるPUB4のリン酸化部位を同定した結果、このリン酸化がユビキチン化活性に寄与する可能性が示唆されていた。本年度は構築した小麦胚芽ライセートを用いたin vitroユビキチン化アッセイ系にCERK1を加え、リン酸化の意義を評価した結果、PUB4はリン酸化によって自己ユビキチン化が亢進することが示された。また、同じin vitroのユビキチン化アッセイ系を用いて、CERK1をユビキチン化するE3リガーゼの探索を行い、1つの因子を同定した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)
Carbohydrate Research
巻: 427 ページ: 38-43
10.1016/j.carres.2016.03.026
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 32537
10.1038/srep32537.
Plant and Cell Physiology
巻: 57 ページ: 2312-2322
10.1093/pcp/pcw150