研究課題/領域番号 |
26850029
|
研究機関 | 公益財団法人岩手生物工学研究センター |
研究代表者 |
藤崎 恒喜 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 研究員 (30626510)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ETI / 病原体認識機構 / エフェクター / イネいもち病菌 |
研究実績の概要 |
これまで、イネのExo70-F2と-F3がAVR-Piiと特異的に結合すること、Exo70-F2/F3を同時に発現抑制するとPii依存的抵抗性が阻害されることを示してきた。平成26年度はPik依存的抵抗性への影響を調べ、Exo70-F2/F3 knockdownの影響は受けないという結果を得た。以前に、Pia依存的抵抗性もExo70-F2/F3 knockdownの影響は受けないという結果を得ているため、Exo70-F2/F3はPii依存的抵抗性に特異的に機能することが分かった。さらに、TILLING法で同定したExo70-F2 knockout株やExo70-F2と-F3単独のknockdownイネを用いた解析から、Exo70-F3が中心的な役割を果たしていることが分かった。 以上の結果からExo70-F3がPiiによるAVR-Pii認識に介在する可能性を示唆された。実際、yeast two hybrid assayや免疫沈降でAVR-PiiとPiiとの相互作用は認められない。そこでExo70-F3を中心とした相互作用をY2Hで調べたところ、Exo70-F3とAVR-Piiの相互作用の他に、Exo70-F3とPii-2のLRR domainが弱く相互作用することがわかった。ただ、その相互作用は免疫沈降では検出されず、生物学的意義についてはさらに検証が必要である。 また、Pii依存的抵抗性に関与する新規因子の探索のため、Exo70-F3およびPiiと相互作用するイネのタンパク質のスクリーニングも進め、幾つかの候補因子を得た。その中にはInositol phosphateseのようにExo70-F3とPiiに共通して同定された因子も存在する。さらに、遺伝学的同定に向けたひとめぼれ変異体の解析から、既知のPii-1に加え、隣接するPii-2 もPii依存的抵抗性に必要な事が明らかとなった。その他、Pii以外の原因遺伝子が想定される変異体も同定されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Exo70関与の特異性、およびExo70-F2/F3貢献度の違いを明らかにするための実験材料を作成し(ノックアウト、ノックダウン株)、明瞭な結果を得た。また、研究計画通り、AVR-Pii/Exo70-F3/Piiの相互作用に関する実験を行い、メカニズムを説明する結果を得るには至っていないが、それぞれの作用機作を考察する上で有益な情報を得ている。さらに、Pii依存的抵抗性における新規関連因子の探索も予定通り進め、Exo70/PiiインタラクターのY2Hによるスクリーニング、ひとめぼれ変異体のスクリーニング共にスクリーニング作業を終了し、幾つかの候補因子および候補変異株を得て、解析作業に入っている。 一方でAVR-Piiへの変異導入と機能への影響、AVR-Pii/Exo70-F3の相互作用がそれぞれのタンパク質に与える性状変化については検証結果が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、予定通り進捗している新規関連因子同定に向けた解析を進めるとともに、結果が遅れている変異AVR-Piiの機能解析および、AVR-Pii/Exo70-F3の相互作用がそれぞれのタンパク質に与える性状変化(翻訳語修飾、局在性等)については検証実験を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
参加予定学会への参加中止
|
次年度使用額の使用計画 |
本研究結果を論文化するための論文投稿経費
|