近年、世界的規模の物流の増加に伴い侵入害虫が農作物や環境に与える問題も深刻化しているが、新天地における侵入昆虫の害虫化のメカニズムは未知の点が多い。本研究では、ココヤシの侵入害虫キムネクロナガハムシに存在する遺伝的に異なる2系統のうち一方のみが分布を拡大し大発生していること、その要因として大発生系統は高木、低木ともに加害するが、大発生しない系統は低木のみを加害することを明らかにするとともに、寄主植物の分布がハムシの分布拡大に影響することを示した。また、両系統は交尾はするが、産まれた卵のふ化率は著しく低い。この現象を引き起こすのが、ハムシの生殖器官に共生する新規細菌であることを明らかにした。
|