研究課題/領域番号 |
26850032
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三田 敏治 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90581851)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 種構成 / 天敵 / 寄生蜂 / 分布 |
研究実績の概要 |
1)ミナミアオカメムシの卵寄生蜂 天敵として世界的に導入されているTrissolcus basalisの分布域の調査を行った.愛知県の大豆圃場では高頻度でミナミアオカメムシ卵に寄生していることが確認できた.九州圏内では,福岡県北部で設置卵塊に対する寄生を認めた.水田内でも掬い取り調査で容易に得ることができたため,発生数はかなり多かったと考えられる.一方で,愛知県と隣接している三重県では確認できなかった.島根県の調査ではミナミアオカメムシ,T. basalisの発生はともに認められなかった. 2)クサギカメムシの卵寄生蜂 クサギカメムシ卵の設置調査を行った.5月から9月まで福岡県のヒノキとクワに卵塊を設置した.その結果,T. mitsukurii,T. japonicus,T. plautiae,T. itoi,T. cultratus,Anastatus japonicusの寄生を認めた.全体の寄生率は約22%で,種構成はチャバネアオカメムシ卵のものとほとんど同じだが,寄生率はかなり低いといえる. 3)寄生蜂の寄生能力の比較 T japonicus,T. cultratus,T. basalisを,クサギカメムシ,チャバネアオカメムシ,ミナミアオカメムシ卵にそれぞれ寄生させ,寄生率や性比を調べた.寄生率は,T. cultratus,T. japonicusとミナミアオカメムシ,T. basalisとクサギカメムシの組み合わせで低く,雄比も高くなる傾向がみられた.これらニッチの異なる寄主卵に対する寄生能力が低い可能性を示している一方で,T. basalisは野外で寄生が認められていないチャバネアオカメムシ卵に対してミナミアオカメムシ卵と同程度の能力を有していた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)野外調査やカメムシの飼育に想定以上の時間を要した. 2)データベースの登録や論文の執筆が当初の見込みより進んでいない.
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今後の研究の推進方策 |
1)野外の卵塊設置調査は,時期を選んで集中的・効率的に行う. 2)各種データベースの登録作業や論文の執筆を進め,課題の成果をとりまとめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の出張予算の見積もりと実際の精算額に差が生じたため.年度内に使用するより次年度の調査や実験に使用したほうが効果的であると判断した.
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議の渡航経費の一部に充てる予定でいる.
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