研究課題
オオキンカメムシの卵寄生蜂の探索を行った.野外では卵塊上でTrissolcus itoiが見られ,産卵行動も確認できたが,いづれの卵からも蜂成虫の羽化は見られず,胚の発育も確認できなかった.そのため,オオキンカメムシはTr. itoiの寄主としては不適であると考えられる.数十卵塊調べたが,これまでのところ野外の卵塊から寄生蜂は得られていない.また,クサギカメムシ卵を利用する寄生蜂の寄生率の消長や地域性について共同研究者らと成果を取りまとめた.これまでに得られた知見を総合し,九州の大豆圃場で見られるカメムシ卵寄生蜂の同定資料を作成した.4科5属13種の写真画像データ,形態図および検索表を掲載しており,実態顕微鏡があれば比較的簡単に種同定が行える.九州では防除対象となる種が主にミナミアオカメムシなので,これまでの調査結果に基づいて寄生蜂の掲載種ごとにミナミアオカメムシ卵の利用頻度情報も加えた.九州の主要な種はTr. mitsukuriiとTelenomus turesisだが,Tr. basalisは世界的に重要な天敵として知られているにも関わらず九州ではほとんど得られていない.比較的近年ミナミアオカメムシが分布を広げた地域を中心に見られているため移入種の可能性もあるが,その経緯については不明である.そのため,本種の今後の分布域の動向には注意を払いたい.本資料は利用者の意見を基に微調整して公開する予定でいる.しかしながら,小型寄生蜂の形態観察は多少とも熟練を要するため,PCR-RFLPなどを用いたより簡便なジェノタイピング技術の開発も検討してゆきたい.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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